173万句の頂点は『鯨の乳』。詠んだ人は前の年もクジラ

第37回お~いお茶新俳句大賞の最高賞

写真はイメージ Photo by Trac Vu on Unsplash

10/16 01:00 / 発信国:日本 / 記者:工藤

173万句の頂点は「鯨の乳」 この人、前の年もクジラを詠んでいた

伊藤園が10月15日、第37回「お~いお茶 新俳句大賞」の結果を発表した。173万9032句の頂点に立ったのは、この句だ。

「春の海すこし鯨の乳まじる」

春の海に、クジラの乳が少し混じっている。海全体の話なのか、クジラ一頭の話なのか、一度読んで戻りたくなる。

最高賞の文部科学大臣賞を取ったのは、岡山県岡山市の矢野啓介さん(46歳)。応募は60か国から45万2270人、173万9032句だった。審査員には夏井いつきさんや宮部みゆきさんが並ぶ。

ここで、ちょっと待ってほしい。

矢野さんは、前の年も入賞していた。第36回の金子兜太賞だ。そのときの句が「感情の海に一頭くじら飼う」。

2年続けて、海とクジラである。入賞は今回で3度目だという。

前の年に金子兜太賞を取った人が、翌年に最高賞を取るのは、1989年の創設以来初めて。その初の快挙を、クジラ2句で取った。

では、なぜこの句が選ばれたのか。審査員が文章で書いた選評は、公式サイトでは見つけられなかった。審査会の総評は、審査員のいとうせいこうさんが話す動画で出ている。矢野さんがなぜクジラを詠み続けるのかも、出典では分からなかった。

6歳は恐竜、74歳は夫を漢方薬に

この大会、季語はなくてもいい。きっちりした定型でなくてもいい。感じたことを五・七・五の調子に乗せて送ればいい、という募集の仕方だ。だから上位の顔ぶれが自由すぎる。

恐竜の化石を掘り出す発掘現場
写真はイメージ 撮影 BLMUtah/Public domain(ウィキメディア・コモンズ)

今回の金子兜太賞は、神奈川県の平之内里咲さん、11歳。「二億年待たせてごめん今掘るよ」

小学生の部の大賞は、千葉県の松隈拓さん、6歳。「恐竜の気持ちになって見る火球」

40歳以上が出す一般の部Bの大賞は、山口県光市の岩本早苗さん、74歳。「金婚式漢方薬のような夫」

6歳が恐竜の目で空を見て、11歳が二億年待たせたことを謝り、74歳が夫を漢方薬にたとえた。どれも、ひねり出した言葉というより、思ったことをそのまま置いた形に見える。

つまり、今日のあなたも詠める。会議が長かった。洗濯物が乾かない。指が勝手に同じアプリを開く。五・七・五に乗せれば、それはもう一句だ。

公式サイトによると、募集は毎年11月3日の文化の日から翌年2月末日までの約4か月間。第38回の日程は、まだ出ていない。

入賞した1000句は、2027年春以降の「お~いお茶」のパッケージに載る予定だ。クジラも、恐竜も、漢方薬のような夫も、ペットボトルの横で出番を待っている。

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