赤ちゃんが泣いてもいい上映回が、賞をとった
TOHOシネマズ/2026年度グッドデザイン賞
写真はイメージ Photo by Declan Sun on Unsplash
赤ちゃんが泣いてもいい上映回が受賞 主役は赤ちゃんではなかった
映画館で赤ちゃんが泣いてもいい上映回がある。TOHOシネマズの「ベイビークラブシアター」だ。これが2026年度のグッドデザイン賞をとったと、10月15日に発表された。23年も続いているのに、知らない人のほうが多い気がする。
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どういう回なのか。上映中も場内を通常より明るくする。音量は通常より抑える。空調も赤ちゃんに合わせる。ベビーカー置き場があり、立ち歩いてあやしてもいい。公式サイトにはこう書いてある。「赤ちゃんが泣いても、おしゃべりしてもお互いさま」。映画館では静かにする、といういちばん強い決まりを、公式に外した回だ。入れるのは赤ちゃん連れだけなので、静かに観たい人とぶつかることもない。
では、何を上映するのか。赤ちゃん向けのアニメだろう、と思う。
10月15日の対象作品を見た。『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』。なるほど。その隣に、『時給三〇〇円の死神』。
死神である。赤ちゃんの横で。
種明かしをすると、この回の主役は赤ちゃんではない。TOHOシネマズは、保護者が楽しめる一般作品を中心に上映している。公式Xの告知では、6月4日の作品は『プラダを着た悪魔2』の日本語字幕版だった。赤ちゃんを静かにさせるための回ではなく、親が映画を観るための回なのだ。
始まりは2003年の「ママズ クラブ シアター」。「出産して以来、映画館に行ったことがない」という声がきっかけだった。2020年4月にコロナで中断し、2022年11月24日に今の名前で再開した。再開した2022年の利用者は279人。再開が11月24日だから、1か月あまりの数字だ。それが2025年には44,435人になった。小さな市の人口くらいである。
グッドデザイン賞の審査委員は、映画を観る場であると同時に、「そのコミュニティを共有する場として捉えている点が興味深い」と書いた。そして「すでに23年間にわたって実施されており、サービス普及という観点からも評価のポイントが高かった」と続けた。新しさではなく、やめなかったことが評価されたわけだ。
いま全国61劇場で、毎月1〜2回、主に木曜日にやっている。日も回数も劇場によって違う。帰りに鑑賞証明書がもらえる。何歳まで入れるのか、料金はどうなるのかは、確かめた出典には書かれていなかった。
赤ちゃんが泣いていい回で、親は死神の映画を観る。その変な組み合わせを23年続けてきたから、賞が来た。
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