うちより安く、
よそに出さないで

――ある会社が、取引先に

10/15 15:45 / 発信国:アメリカ / 記者:工藤

米国で17.99ドルのアイスメーカーが消え、Amazonで59.99ドル

米国で、電気のアイスクリームメーカーの値段が、17.99ドルから59.99ドルに上がった。3倍より高い。作っているのはマキシマティックという会社だ。同じ機械は、家電店のベストバイにも並んでいた。その出品が消えたあとで、Amazonの値段が上がった。カリフォルニア州の司法長官が裁判所に出した社内資料に、この経過が書かれている。

ここが、ややこしい。ベストバイから商品を引き上げたのは、ベストバイではない。作っている会社の側だった。

3つの商品で、起きたこと

同じような動きは、ほかの商品にもある。ニュージャージー州のオール・ザ・レイジズが作るテーブルランプは、ウォルマートで24.99ドルだった。それが39ドルになった。シェフマンのエアフライヤーは、通販サイトのニューエッグで84.99ドル。これが149.99ドルになった。

3つに共通するのは、値段が動く前に、Amazonと作っている会社のあいだでやりとりがあったという点だ。英紙ガーディアンが、裁判で開示された社内のメールや資料を読んで報じた。

値段を見張り、電話で迫る

州の司法長官ロブ・ボンタの訴えによると、順番はこうだ。Amazonは、ウォルマートやホームデポ、ベストバイの値段を見張る。自分より安い値段が見つかると、その商品を作っている会社に連絡する。そして、減った売上の差を埋めるお金を払うか、安い店の出品を下げるかを求める。

従わないと、どうなるのか。資料には、Amazonがその会社の在庫を一時的に下げた例が出ている。アイスクリームメーカーがそれだ。Amazonから自分の商品が消えた会社は、慌ててベストバイから在庫を引き上げた。ベストバイはそのあと、90日のあいだAmazonだけに売らせる期間を与えたとされる。

言い方にも、気をつけた跡がある。2019年の社内資料は、他店の画面を取引先に見せるとき「競合の名前を使うな」と指示していた。2022年の資料には「メールを使うな」とあった。元の社員の一人は、唯一の決まりは「これを文字に残すな」だったとガーディアンに話している。

では、Amazonで買わない人はどうなるのか。2022年9月14日にサンフランシスコの裁判所へ起こされた訴えに、答えがある。Amazonで売る会社は、Amazonより安い値段を他の店に出せない。出せばBuy Boxを外されたり、アカウントを止められたりする。訴状には、売る側の相談を受けるコンサルタントの話が出てくる。取引先は「もっと安い値段を出したい」のに、枠を失うのが怖くて出さない、という。つまり、Amazonを開かない人の値段も、Amazonの値段に引っ張られる。これが、州側の言い分だ。訴えは、州のカートライト法などに違反するという主張だ。

Amazonは、値段を固定したことを否定している。100万件近くある取引先とのやりとりから、都合のいいメールだけを切り取られたという説明だ。値段の交渉は買う人の値段を下げるためにやっている、業界で普通のやり方だ、とも言っている。裁判は続いていて、結論はまだ出ていない。

ネットの評判

技術者が集まる掲示板ハッカーニュースでは、10月15日にこの話が上位に戻った。同じ日のうちに769点、617件のコメントが付いた。目立ったのは、Amazonを使う理由は安さではないという声だ。火曜に届くと表示されたら、100回のうち95回はその日に届く。返品も、郵便局でQRコードを読ませれば終わる。だから1割高くても使う、という書き込みが票を集めた。

反対の側からは、Amazonが取引先に、よその店で安く売らせない決まりを押しつけている、という批判が出た。最近は届く日が守られない、使用済みの品が新品として届いた、という不満も並んだ。

上がった分は、ランプが14ドル、エアフライヤーが65ドル、アイスクリームメーカーが42ドル。州の司法長官は、この3つを値段の固定にあたる例として裁判所に出している。

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