『わかった気になるのが、めちゃくちゃ簡単…。
』ん?
――あるエンジニアが、自分のブログに
写真はイメージ Photo by Daniel Álvasd on Unsplash
AIに答えを聞くほど、理解は浅くなる。だから先に、自分でしゃべる
NTTドコモビジネスで生成AIの仕事をしている岩瀬義昌さんが10月1日にブログに出した「AI時代の勉強法(2026)」は、AIに答えを言わせない勉強法の話だった――と書くと、順番が逆に聞こえるかもしれない。
この記事は、はてなブックマークで1,042人に保存された。10月14日の時点では、月間のランキングで5位だ。芯は、短い一文に出ている。「生成AI時代の学びでかなり危険なのはわかった気になるのがめちゃくちゃ簡単なことだと思う」
では、どうするのか。岩瀬さんのやり方は、答えをもらう前に自分で話す、という順番だ。学ぶときに使うのは、スタンフォード大学のCS336のような講義動画と、書籍。英語の講義は「GPT-Live」にその場で訳させ、本の難しいページは写真を撮ってChatGPTに噛み砕いてもらう。ここまでは、よくあるAIの使い方だ。
早く答えをもらうほど、浅くなる
分かった気になって、何が困るのか。ペンシルベニア大学ウォートン校のShiri Melumadさんと、ニューメキシコ州立大学のJin Ho Yunさんが2025年10月28日、アメリカの学術誌PNAS Nexusに載せた論文がある。7つの実験で、合わせて10,462人に、家庭菜園の作り方、健康的な暮らし方、詐欺への対処といったテーマを学んでもらった。ある人たちはAIの要約で、別の人たちはウェブ検索で。そのあと、学んだことをもとに、人へのアドバイスを書いてもらった。
AIの要約で学んだ人は、検索の結果を見る時間が短く、自分でも浅くしか分かっていないと答えた。書いたアドバイスは短く、具体的な事実に触れる回数が少なく、他の参加者のものと似ていた。別の1,501人に読ませると、役に立たない、情報が少ない、信じにくい、と評価が低かった。結果に出てくる事実をそろえ、見せ方だけを変えた実験でも、差は消えなかった。
研究者が原因に挙げるのは、要約という形そのものだ。検索ならリンクが並び、どれを開くか自分で選び、ばらばらの情報をつなぐ。その作業が省かれると、学びは受け身に変わる、と二人は書いている。
「説明するから、間違いを教えて」
岩瀬さんは、この論文には触れていない。ただ、やっていることは、肩代わりされた作業を自分の手に戻す形になっている。ファインマンテクニックと呼ばれる方法を、AI相手にやる。
手順はこうだ。まず「今から自分が〜について説明するから、間違えているところがあったら教えて」と伝えて、話し始める。話せずに詰まったところは、理解が浅いところ。そこだけAIに調べてもらい、逆に教えてもらう。最後に「これまでの説明で、間違っているところがあれば教えて」と頼む。
説明に入れる中身も決めている。背景にある課題、課題を解くための技術や手法、実験結果、メリットとデメリット。この構成を「何も見ずにスラスラ話せるようになっているなら」理解できている、と岩瀬さんは書く。答えをもらうより手間はかかるが、省かれていた作業が戻るのは、こちらのほうだ。
ただし、しゃべる相手はAIだ。岩瀬さん自身、ハルシネーション(AIがもっともらしい間違いを答えること)は起きるので、引っかかったら別のところで真偽を確かめる、と断っている。
記事の最後には、こんな一行がある。「この記事は、文章の誤字脱字チェック以外には生成AIを活用しておらず、すべて手でタイプしている」。AIでの学び方を書いた記事が、手打ちだった。
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- AI時代の勉強法(2026)
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- Experimental evidence of the effects of large language models versus web search on depth of learning(PNAS Nexus 4巻10号 pgaf316、2025-10-28)
- AI produces shallower knowledge than web search(EurekAlert、2025-10-28)
- Stanford CS336: Language Modeling from Scratch(講義ページ)
- Stanford CS336 Language Modeling from Scratch