飲み物を飲むのは、
弱い人だ
――中国で、ミルクティーをやめた若者の合言葉
2リットルの水を抱える中国の若者、医師が止めたのは量ではない
中国の若い人が、2リットルの水の瓶を頭の上に持ち上げ、一気に飲み下す。その動画に付いていた言葉は「弱者喝饮料,强者喝大水」だった。弱い人は飲み物を飲み、強い人は大水を飲む、という意味だ。この合言葉とともに、1.5〜2リットルの大瓶を持ち歩く流行が、2026年10月の初めに微博(ウェイボー)や動画アプリの抖音(ドウイン)で広まった。ミルクティーやコーヒー、甘い炭酸飲料をまとめて「小甜水」(小さな甘い水)と呼び、ただの水に替える。
これ、水だけの話ではない。新浪新聞の記事は、この「大水理論」を、体を絞る「薄肌理論」、しっかり寝る「大睡理論」と並べ、いちばん安い自己管理の三点セットと呼んでいる。
では、いくら浮くのか。新浪の記事は、甘い飲み物をただの水に替えれば、毎月それなりの出費が浮くと書く。中国のビジネスメディアの虎嗅も10月14日、大瓶は飲料やミルクティーよりコスパが高いと見られていると伝えた。1本1元の水が当たり前になったのは、2024年の初めに始まった値下げ競争の結果だという。売上も動いた。2025年、飲料大手・農夫山泉の包装飲用水の売上は17.3%増えて187.09億元、5100藏冰川は115.3%増。一方で、怡宝を出す華潤飲料は21.6%減だった。ただ虎嗅は、この流行が続くかどうかを疑う。大瓶を買った人の多くは、無料で水が飲める場所に戻るだろうという。
医師が止めたのは、量より飲み方
この盛り上がりに、三甲病院の医師が注意を出した。健康な大人の腎臓が1時間に出せる水は、0.8〜1リットルほど。それを超えると、血の中のナトリウムが薄まる。軽ければ頭痛と吐き気、重ければけいれんが起きる。これが低ナトリウム血症、俗に言う水中毒だ。
では、どれくらいならいいのか。別の新浪の記事に出てくる医師は、1日の目安を成人男性で約1,700ミリリットル、女性で約1,500ミリリットルとし、汗をかいたら増やしていいという。止められたのは、量ではなく飲み方だ。少しずつ何度も飲むのがよく、瓶が大きいほどいいわけではない。足りているかは、尿の色で見る。心臓や腎臓が弱く、水を控えるよう言われている人は、医師の指示に従う。瓶が大きくても健康とは限らず、大事なのは容量よりリズムだという。
微博では「#严肃进入喝大水时代#」(まじめに大水を飲む時代へ入る)というハッシュタグが立った。新浪の記事の見出しは、2リットルの水を持ち歩くのは格好つけではなく、いちばん安い健康法だと言い切る。一方で、水を飲むことをパフォーマンスにするな、という冷ややかな言葉も出てくる。
日本の水筒は、中身がお茶
日本にも、水を持ち歩く習慣はある。ただ、形がかなり違う。日本宅配水&サーバー協会が2025年10月に1,800人に聞いた調査では、マイボトルを使う人は76.3%で、前の年の72.0%から増えた。中身はお茶が54.6%、水は32.8%だ。
繰り返し使う自分の容器に、好きなものを入れる。中国で広まったのは、使い捨ての大瓶を1本そのまま抱えるやり方だ。残りがどれだけあるか、外から見える。同じ「水を飲む」でも、日本は杯の数で語られ、中国は1本の大きさで語られている。
「健康のため水を飲もう」推進運動が呼びかけているのは、これだ。「平均的には、コップの水をあと2杯飲めば、一日に必要な水の量を概ね確保できます」。
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