2か月やっても、
体重が変わらない
――筋トレを続ける人が、体重計の前で
写真はイメージ Photo by Greg Rosenke on Unsplash
筋トレ7日で脂肪細胞が縮んだ ただし頑張ったのはマウスだ
ブラジルのカンピーナス州立大学の研究チームが、太ったマウスに7日間だけ筋トレをさせた。体重は減っていない。それなのに、腸のまわりの脂肪は、運動しなかったマウスより少なくなっていた。脂肪をためこむ細胞も、小さくなっていた。
研究は学術誌「Life Sciences」に載った。日本では10月13日に伝わった。
「7日でいいのか」と思った人は、少し待ってほしい。マウスが何をやったのかが、先だ。
登ったのは、70センチのはしご
マウスは、しっぽに重りを付けられて、70センチのはしごを登った。重さは、そのマウスが登れる限界の7割。1回登り切ると60〜90秒休み、また登る。これを20回繰り返して、1日分のトレーニングになる。
70センチを20回だから、1日に登る高さは14メートル。マンションの4階か5階ぶんを、重りをぶら下げて登る計算だ。それを1週間で7回。
研究を率いたレアンドロ・ペレイラ・デ・モウラ准教授は、こう話した。「もちろん人間が行う筋力トレーニングを完全に再現することは不可能ですが、より強い収縮を伴う同様の努力を体に引き起こすことができ、人間の筋力トレーニングを効果的に模倣できました」
えさはそのまま。太る原因になった高脂肪のえさを、運動したマウスも食べ続けた。食事をそろえれば、変わった部分は運動のせいだと言いやすい。
細胞の中で起きたこと
調べたのは腸間膜脂肪という部位だ。
脂肪細胞の中では、PLIN1というタンパク質が、ABHD5という別のタンパク質をつかんでいる。運動の刺激が届くとPLIN1の形が変わり、ABHD5が離れる。離れたABHD5はATGLとくっつく。ここから脂肪の分解が始まる。
太って動かないマウスでは、ABHD5がもともと減っていて、分解の仕組みがあまり働いていなかった。筋トレをしたマウスでは、ABHD5とATGLのくっつきが増えた。逆に、脂肪を作るほうに関わるScd1の働きは減っていた。ためる側が弱まり、分解する側が強まった。
では、なぜ体重のほうは動かなかったのか。出典に、はっきりした理由は書かれていない。体重が動かないうちに見るのが、そもそもの狙いだった。モウラ准教授は、体重を一定に保てば、減る前に運動が何をしたのかを直接つかめる、と話している。
人に置き換える前に
モウラ准教授は、筋トレを2か月続けて体重が減らないと、効果がないと思い込む人が多い、と話す。
人で同じことが起きるかは、まだ確かめられていない。研究チーム自身がそう書いている。使ったのはオスのマウスだけ。調べた脂肪は1か所だけ。見たのも、脂肪の分解に関わる遺伝子やタンパク質の信号が中心だ。
医師でコイン・メディカル共同創業者のルーシー・フーパー氏は、ニューズウィークにこう話した。マウスと人は、肥満や代謝の反応という大事なところが大きく違う。脂肪の細胞は代謝が活発で、免疫にも関わる。脂肪組織は、体のもうひとつの臓器のようなものだ。
研究チームは、体重を落とすなら筋トレと有酸素運動の組み合わせがいちばんだ、と勧めている。次は、もっと長く続けた場合を調べ、心臓のまわりの脂肪も調べるという。人を対象にした試験も目指している。
モウラ准教授は、効き目は体重計に出るより先に始まっているかもしれない、と話した。ただ、そのマウスは、しっぽに重りを付けて、70センチのはしごを7日間で140回登っている。
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