原子力潜水艦、
とりあえず作ります
――ある政府関係者が、記者に
写真はイメージ Photo by Katja Ano on Unsplash
原潜は燃料を入れ替えずに地球37周ぶん走る 政府が導入の「調査」を書き込む検討
政府が、年内に書き換える安保3文書に、原子力潜水艦(原潜)の導入を調査・研究する、と書き込む検討に入った。時事通信が10月7日に伝えた。中国軍の活動が太平洋の方へ広がっているのを受けた動きだ。
ただ、持ったとして何に使うのかは決まっていない。10月12日の時事通信の記事では、政府関係者が「全くコンセンサスができていない」と話している。
小泉進次郎防衛相は前向きだ。10月9日の記者会見で「議論の必要性は国民も理解するところではないか」と語ったと時事通信は伝えた。
潜ったまま、どれだけ走れるのか
では、いまの潜水艦と原潜は何がどう違うのか。差が出るのは、潜っていられる時間と、走れる距離だ。

海上自衛隊の潜水艦は通常動力だ。防衛省の広報誌MAMORによると、たいげい型はディーゼルの発電機で電気を作り、電池にためてモーターを回す。電池が減れば、スノーケルを水面に出し、空気を吸いながら充電し直すことになる。4番艦からは、潜ったままでも早く充電できる「新型スノーケル発電システム」を載せた。それでも、海面の近くまでは上がる。
原潜には、その空気が要らない。世界原子力協会の資料には、原潜は電池を充電するためのディーゼルを回す必要がなく、20〜25ノットを潜ったまま長く保てる、とある。浮かび上がらずに、その速さのまま走り続けられる。
燃料の話になると、差はもっと開く。同じ資料によると、潜水艦に積む新しい炉心は30〜40年使える設計で、距離にすると150万km以上。地球1周を約4万kmとすれば、37周してもまだ走れる。米国のロサンゼルス級とバージニア級は、艦の寿命である33年のあいだ、燃料を入れ替えない。ただ、どの原潜も同じではない。フランスの小型のリュビ級は、7〜10年ごとに交換が要るという。
哨戒か、反撃か
能力の差は、これだけはっきりしている。では、何のために持つのか。ここが決まっていない。
時事通信によると、政府内は二つに割れている。一つは、遠くの海を見張る用途。自衛隊幹部は「近海でしか活動できない通常動力型艦ではグアム周辺まで索敵するのが厳しい」と話した。もう一つは反撃の用途だ。ある防衛省幹部は、長い射程のミサイルを積めば「普段は海底に潜み、いざというときに浮上して敵司令部をたたく運用ができる」と話している。
壁も残る。建造費は兆円単位とも言われる。原子炉を扱える人をそろえられるのか。原子力を使うのは平和の目的に限る、と決めた原子力基本法と、どう合わせるのか。自民党の中でも、意見は分かれている。重鎮は「調査・研究なら構わない」と話し、ベテランは「全てに問題がある。調査・研究しても無駄だ」と話す。持つかどうかは、調査・研究を経て数年かけて判断する想定だという。
ネットの評判
はてなブックマークのコメント欄で目立つのは、順番がおかしいという指摘だ。先に何に使うかを決め、それに必要な力を考えるのが筋ではないか、という声。核を持たない日本が原潜を持って意味があるのか、と疑うコメントもある。無人の潜水艇を何隻かそろえたほうが安いのではないか、という意見も出ていた。ただ、このページは今回開けず、件数は確かめられなかった。
はっきりしているのは、燃料を入れ替えずに何十年も走れるという数字のほうだ。何のために潜るのかは、これから数年かけて決める。
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お金がかかる
――兵庫県で、1万3000筆の署名に出た声
- 「原潜導入論」政治主導 反撃か哨戒か、目的定まらず
- 「原潜導入調査」明記検討 政府、安保3文書改定で―中国軍の活動拡大踏まえ
- Nuclear-Powered Ships(World Nuclear Association)
- 世界トップレベルの潜航能力!海自が誇る新型潜水艦を紹介(MAMOR-WEB、2022年3月16日)
- 「国家安全保障戦略」・「国家防衛戦略」・「防衛力整備計画」(防衛省)
- 原子力基本法(e-Gov法令検索)
- What is the difference between a nautical mile and a knot?(NOAA)
- はてなブックマーク(時事通信10月12日の記事のページ、今回開けず)