加害運転手が、降りてきて抱きしめた

州警察が公式Xで共有した防犯カメラの映像

写真はイメージ Photo by Fabio Sasso on Unsplash

10/11 14:58 / 発信国:インド

車が接触、運転手は降りて抱きしめた。州警察が付け足した一行

インド北部のウッタラーカンド州で、道端を歩いていた若い男性に、赤い小型の車が軽く当たった。車は走り去らず、すぐ先で止まる。運転手が降りてきて、男性のほうへ歩いてくる。ここから怒鳴り合いだろう、と思う。ところが運転手は、男性を抱きしめた。

映像は防犯カメラのものだ。ウッタラーカンド州警察が10月8日、公式のXで共有した。投稿にはこうある。「道路で怒るのではなく、人間らしさを見せてほしい。軽い接触のあと、運転手は言い争うのではなく、降りてきて自分の過ちを感じ、若者を抱きしめて無事を確かめた」(訳)

なぜ抱きしめたのか。運転手本人の説明は、読めたどの記事にも出てこない。映像から分かるのは、2人が車の脇で少し立ち話をしたこと、そのあいだも車が行き来していたこと、それくらいだ。

では、男性にけがはなかったのか。ここは正直に書くしかない。ヒンディー語のニュースサイト「アマル・ウジャラ」は、当たったあとに若者がけがをしたのかどうか、映像からは分からないと書いている。現場の市町村名も、2人の名前も公表されていない。

ほめた投稿の、その先

おかしいのは、ここからだ。警察の投稿は、抱擁の話で終わっていない。最後にもう一行ある。「道路では常に速度を抑え、歩行者を尊重してください」(訳)。抱きしめた運転手をほめた同じ投稿が、速度の話で閉じている。ほめ言葉の後ろに、当てる前の注意が置かれている、と読める。

映像を見た人も、そこは冷静だった。インドのニュースサイト「フリー・プレス・ジャーナル」は、運転手の対応をほめる声と並んで、歩行者の側も気をつけるべきだという指摘が出たと書いている。州のニュースサイト「ステートミラー」も、ぶつけないよう気をつけることは、ぶつけたあとの優しさと同じくらい大事だ、という声が寄せられたと伝えている。

抱擁は、よくできた映像だ。ただ、州警察が最後に書いたのは抱擁のことではなく、当てないための一行だった。

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