亡くなった歌手の新曲、歌声はAIが作った
故・尾崎紀世彦さん/2026年10月7日の記念ライブ
写真はイメージ Photo by Ladislav Bona on Unsplash
故・尾崎紀世彦さんの新曲、AIの歌声で披露 遺族は承諾、ネットでは疑問の声
2026年10月7日、東京・渋谷のライブハウスLa.mamaで、歌手・尾崎紀世彦さんの新曲「素晴らしい、この世界は」が初めて流れた。尾崎さんは2012年に69歳で亡くなっている。歌声は、AIで作ったものだ。宣伝用の映像もAIで作った。スポニチアネックス、サンケイスポーツ、デイリースポーツが、それぞれ10月7日に報じた。
なぜ、いまAIなのか。今年は、大ヒット曲「また逢う日まで」の発売から55年になる。企画したのは、尾崎さんの元スタッフたちだ。音楽プロデューサーの小林輝氏(67)が、元マネジャーの柴田正氏(72)らに持ちかけた。サンケイスポーツによると、AIで歌声を復活させた美空ひばりの例が、背中を押したという。
ライブは、若手の歌手7人が尾崎さんの曲を歌い継ぐ形だった。最後は出演者とファンで「また逢う日まで」を大合唱した(スポニチアネックス、10月7日)。
遺族は、何と言ったのか
柴田氏がまず尾崎さんの妻に音を聞かせると、妻は「あら、随分若い頃の声ね」と笑顔を見せたという。そのうえで「柴田さんがやってくれるんだったら尾崎も喜んでいると思うよ」と快諾した(スポニチアネックス、10月7日)。デイリースポーツは10月8日、新曲は遺族の承諾と協力のもとで作られたと伝えた。
亡くなった人の声は、どこまで使えるのか
披露の1週間前に、関係する判決が出ていた。声優の津田健次郎さんの声をAIでまねた動画が、TikTokに無断で投稿されていた件だ。この裁判で東京地方裁判所は2026年9月30日、「人の声は肖像と同様に個人の人格の象徴で、無断使用はパブリシティー権の侵害」という判断を示した(J-CASTニュース、10月1日)。
ただし、これは「無断」の話だ。今回は遺族が認めている。では、亡くなった人の声はどうなるのか。法務省の検討会が、7月に報告書をまとめた。日本俳優連合の解説(7月28日)によると、報告書は、パブリシティ権が相続されるかどうかは議論が続いていて、統一した見解はないとしている。一方で、故人の声を勝手に使うことは、遺族の敬愛追慕の情を傷つけ、賠償を求める根拠になりうるという。つまり、遺族が認めているかどうかが、大きな分かれ目になる。
ネットの評判
写真週刊誌FLASHのウェブ版「SmartFLASH」は10月8日、「本人が歌ってないのに新曲っておかしい」「声優の声の無断使用と何が違うの?尊厳って何?」といった疑問の投稿がSNSに出ていると報じた。Yahoo!ニュースに載ったスポニチの記事には、10月8日夕方の時点で343件の書き込みがついた。AIに歌わせること自体に反対する声が目立つ一方、もうけ目当てという批判に反論する声もある。
AIがどの録音を学んだのか、どの会社の技術を使ったのかは、どの出典にも書かれていない。権利を持つレコード会社が関わっているのかも分からない。尾崎さんの初期5作を配信するユニバーサルミュージックの公式ページに、この企画の告知は出ていない(10月8日時点)。小林氏はサンケイスポーツに「これはスタート。尾崎さんの側近にいた人たちの思いも込めて動いている」と話した。企画した側は、今後トリビュートライブや映画化も考えているという。
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- 尾崎紀世彦さんの新曲お披露目 AIで歌声生成&PV制作、会場大合唱 12年に他界、元スタッフら企画(スポニチアネックス、2026年10月7日20時00分配信)
- 尾崎紀世彦さんの歌声がAIで〝復活″ 完全新曲が披露され「彼の心情を何とか形に」(サンケイスポーツ、2026年10月7日20時00分配信)
- AIでよみがえった尾崎紀世彦さんが記念イベントで新曲「素晴らしい、この世界は」を披露(デイリースポーツ、2026年10月7日)
- 最新のAI技術で美声復活した尾崎紀世彦さん 遺族の承諾と協力もあり新曲「素晴らしい、この世界は」が初披露(デイリースポーツ、2026年10月8日)
- 尾崎紀世彦さん、AI生成の歌声で「新曲」披露に「本人が歌ってないのに」SNSで疑問の声(SmartFLASH、2026年10月8日15時55分配信)
- 「AIで声模倣するな」東京地裁が「声の権利」認める判断…尾崎世界観「声も作品と気づかせてくれた」と評価(J-CASTニュース、2026年10月1日)
- 肖像、声等の無断利用による民事責任の在り方に関する検討会(法務省)
- 法務省 生成AIによるパブリシティ権侵害等に関する指針について(日本俳優連合、2026年7月28日)
- 尾崎紀世彦(UNIVERSAL MUSIC JAPAN 公式ページ)
- 上記スポニチ記事のコメント欄(Yahoo!ニュース、2026年10月8日夕方時点で343件)
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