性別で扱いは
変えないつもりだ

――ある実験の参加者が、聞き取りで

写真はイメージ Photo by Vinicius amnx Amano on Unsplash

10/6 21:32 / 発信国:アイルランド

同じAIなのに女性の姿だと報酬10.25%減 アイルランドの実験

ある職場に、仕事を手伝う助手が2人入ったとする。中身は同じシステムで、答える内容も、作業の速さも変わらない。違うのは、画面に映る姿が男性か女性かだけだ。仕事が終わって謝礼を分ける段になると、女性の姿の側に渡った額が、男性の姿の側より1割少なかった。

これは日本の話ではない。アイルランドとスイスの研究チームの実験だ

リムリック大学(アイルランド)のメアリー・ハウスフェルト博士らが、189人の働き手をVR(仮想現実)のオフィスに入れ、AIの助手と組んで仕事をさせた。助手は3種類。文字だけのチャットボット、机に置く小型ロボット、そして人の姿をしたAIである。人の姿のAIには、男性に見える「Johan」と、女性に見える「Johanna」がいた。中で動いている技術は、すべて同じものだ。

作業のあと、参加者には実際のお金が渡され、自分とAIの助手とで分けるよう求められた。Johannaが受け取った額は、Johanより10.25%少なかった。

論文の題は「Human-Like and Male?」。チューリッヒ大学やSKEMAビジネススクールの研究者も加わっている。10月5日から7日までフィンランドのバーサで開かれている国際会議NordiCHIで発表され、米国計算機学会(ACM)の論文誌に収録された。

「性別で扱いは変えない」と答えた人たちが、少なく渡した

日本のオフィスの机が並ぶ様子
写真はイメージ Photo by Declan Sun on Unsplash

参加者は聞き取りに対し、AIの見た目の性別で扱いを変えることはないと答えていた。はっきり機械と分かる見た目のほうがいい、とも述べている。それでも、お金を分ける段になると差が出た。男性の参加者も、女性の参加者も、Johannaに少なく渡している。

仕事ぶりの評価そのものは、2人でほとんど変わらなかった。信頼度はJohanがわずかに上だったが、統計的に意味のある差ではない。一方、人の姿をした助手は、チャットボットやロボットより信頼され、貢献を大きく見積もられた。Johanは、Johannaより「人間らしい」と受け取られている。

なぜ女性の姿のほうが人間らしくないと評価されたのか。理由までは、研究の発表資料に示されていない。ハウスフェルト博士は、これらのAIの背後にある技術はまったく同じだったのに、人々は同じようには扱わなかった、と述べている。

日本の男女の差は、10.25%では収まらない

では、日本の職場の数字はどうか。厚生労働省の2025年(令和7年)賃金構造基本統計調査では、一般労働者の月額賃金は男性が37万3,400円、女性が28万5,900円だった。男性を100とすると女性は76.6で、比較できる1976年以降で最も差が小さい。それでも23.4ポイントの開きが残る。

企業ごとの数字も出ている。2022年7月から、常時雇用301人以上の企業には男女の賃金の差異を公表する義務がある。マーサージャパンが2025年7月8日時点で11,579社分を集計したところ、正規雇用の男女賃金差異の平均は75.5%(男性=100)だった。前年の74.9%から0.6ポイント縮んでいる。業種では、銀行や保険などの金融業で差が大きく、福祉・教育・医療などのサービス業で小さい。女性管理職比率の平均は、2023年の13.2%から2025年には15.3%に上がった。2026年4月からは、公表の義務が常時雇用101人以上の企業に広がり、女性管理職比率の公表も加わる。

並べてみる。日本の人間同士の差は23.4%。中身がまったく同じAIで、見た目を女性にしただけで生まれた差は10.25%。中身が同じでも、見た目を女性にしただけで、日本の男女の賃金差の4割強にあたる開きがついた。

次の視点

中止が4公演。倉敷は、無事に終わった

徳永英明、喉の不調からツアー復帰

ジャンルを変えて「エンタメ」から。いま読まれています 徳永英明、喉の不調から復帰 倉敷公演を無事に終える 中止4公演はどうなる?

43万円の新型冷蔵庫、錆びて見える

Xで話題のアクア「AQR-DUX51B」

ジャンルを変えて「おもしろ」から。いま読まれています アクアの新型冷蔵庫が錆びて見えるのは、わざとだった

高校が遠くなると、
お金がかかる

――兵庫県で、1万3000筆の署名に出た声

ジャンルを変えて「社会・暮らし」から。いま読まれています 2040年度までに県立高145校減 富山県は「閉校」の表現をやめた
出典

いま読まれている記事

  1. 1「ブルーウォーカーにスマホ乗っ取られた」 ラヴィット!6年目で初の遅刻
  2. 2タイ王妃が737を7時間操縦して北海道へ 冷ややかな声は、なぜ出てこないのか
  3. 3銚子のサバ加工、約2割が倒産や廃業 国産に替える道はあるのか
  4. 4米司法省、カリフォルニアで永住者28人を起訴 登録20年超の人も
  5. 5宙返りしたテスラの新車、予約金3,750万円でも「届く保証はできない」
← トップへ戻る