電話の出方が
分からないんだけど

――ある80代の母が、娘に

写真はイメージ Photo by George Beridze on Unsplash

10/20 16:36 / 発信国:日本 / 記者:工藤

80代の両親が2人で約54万円のiPhone契約 父は「一流だね」と満足げ

80代の夫婦が、iPhone 18 Pro(256GB)を2台契約した。機種代金は1人26万8560円で、48回払い。2人分で53万7120円だ。使うのは電話とLINEだけ。え、それで54万円?

書いたのは、その娘。母の携帯に何度かけても出ず、父の電話もつながらない。心配して実家を訪ねたら、両親が持っていたのは、ずっと使っていた「らくらくスマートフォン」ではなく最新のiPhoneだった。

母はこう話した。「電話がかかってきても、どうやって出ればいいか分からない」。店では「次のiPhoneは高くなるから、今がお得」「長く使えますよ」と勧められたという。娘は「電話とLINEだけで、そこまで必要なの?」「PayPayなんて使ったことないのに」と思った。

ところが父は、こう言ったのだ。「一度はiPhoneを持ってみたかった」「いいものは違う。やっぱり一流だね」。

払う額は軽くない。通信料が1人月6928円。娘が書いたところでは、割引が効く最初の24回でも、実質の月額は1人あたり約1万3218円になる。2人で月約2万6400円。2年で約63万円だ。

返す約束なら、実質2万3760円で済んだ

で、安く買う道はなかったのか。26万8560円という数字は、ソフトバンクが出しているiPhone 18 Pro(256GB)の一括価格と一致する。そのソフトバンクには残価設定の分割払いがある。他社からMNPで乗り換え、2年後に端末を返す前提なら、実質の負担は2万3760円まで下がる計算になる(次も同じ会社で買うことが条件)。

電卓とレシート
写真はイメージ Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash

同じ機種が、条件次第で約11分の1。両親が選んだのは、返す道ではなく、48回払って自分のものにする道だった。差は約24万5000円になる。

ついでに言うと、両親が手放した「らくらくスマートフォン」の現行機F-53Eは、一括6万7144円。2026年5月7日に5万1480円から上がった額だが、それでもiPhone 18 Proの4分の1だ。

ネットの評判

Yahoo!ニュースのコメント欄には75件の声が寄せられた。多いのは批判だ。「用途に見合わないオーバースペック。iPhone 17eで十分だった」「利益目的で高齢者に高級機種を勧めた店員は最低」「家族の同伴なしで契約するべきではない」といった声が並ぶ。

少数だが、逆の見方もある。「80の両親にiPhone 16 Pro Maxを買ってあげたら、ゲームやInstagramまで始めた。脳トレになる」という投稿。FaceTimeを使えば遠くから操作を手伝えて便利だ、という指摘。経済的に余裕があって本人が納得しているなら、使いこなす可能性はあるという中立の意見もあった。

心配には根拠がある。でも、選んだのは本人だ

子世代の心配は、気分の話ではない。国民生活センターによると、2025年度に契約した人が65歳以上だった消費生活相談は33万497件。相談全体の37.7%で、前の年より約2万5800件増えている。

携帯ショップの元店員がITmedia Mobileで語った話にも、子世代から「親が『要らない』と言ったのに契約された」というクレームが来る実情が出てくる。一方で高齢者本人は「操作方法が分からない」と不安を抱えている。

それでも、この夫婦は自分で選んで喜んでいる。娘は「使いやすさ」と「必要性」で考えていたが、妹に「あの人たちは、結構ステータスが大事なんじゃない?」と言われて気づいたと書いている。1級ファイナンシャルプランニング技能士である娘の結論は、本人の「欲しい」と家族の「必要」は別のものだ、ということだった。

では、娘はどうしたのか。決めた次の一手は、解約ではなかった。電話の出方を一緒に練習し、アシスティブアクセスで画面を簡単にし、契約の中身を確かめる。26万8560円のiPhone 18 Proは、両親の手元に残ったままだ。

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