ロボットに道を譲らず、人間が逮捕

アメリカ・フィラデルフィア、ペンシルベニア大学の名誉教授

写真はイメージ Photo by Jorge Escobedo on Unsplash

10/19 17:56 / 発信国:アメリカ / 記者:工藤

配達ロボットに道を譲らず逮捕 州法では、譲るのはロボットの側だ

配達ロボットの進路に立ちふさがった人間が、逮捕された。相手は人ではない。Uberの配達ロボットである。

2026年10月16日の午後1時16分ごろ、アメリカ・フィラデルフィアのフィルバート通り1200番地。レディング・ターミナル・マーケットのそばで、キャロリン・マービンという女性が迷惑行為の疑いで逮捕され、起訴された。警察によると、Uberの配達ロボットの進路を何度もふさぎ、警察官の指示にも従わなかった。

たいていの人はこう思う。ロボットに道を譲るのが決まりなんだろう、と。

が、、、そうではない。

州法では、譲るのはロボットの側

ペンシルベニア州にはAct 106という法律がある。この法律で、歩道を走る配達ロボットは車両ではなく「歩行者」として扱われることになった。重さは荷物を除いて550ポンド(約250キロ)まで、速さは歩行者の区域で時速12マイル(約19キロ)まで。つまり決まりの上では、250キロの「歩行者」が歩道を走っている。

ところが、同じ決まりにはこうも書いてある。歩行者の区域では、ロボットのほうが歩行者と自転車に道を譲らなければならない。マービンさんとロボットが向き合ったとき、法律上、先に止まるべきなのはロボットだ。

では、なぜ逮捕されたのか。容疑は「ロボットの妨害」ではない。警察官が何度も指示を出したのに、従わなかったことだ。ロボットに負けたのではない。警察官に引かなかったのだ。

退職前に教えていたのは、表現の自由

マービンさんは、ペンシルベニア大学の名誉教授である。退職前に担当していた講座のテーマは、表現の自由だった。

本人は6abcの取材に、歩道で配達ロボットに抗議するのは第1修正で守られた自分の権利だと思う、と話した。ロボットを見かけるたびに前に立って、進ませないようにしてきたとも言っている。PhillyVoiceによると、その抗議は2026年3月から続く。半年以上だ。起訴も第1修正を根拠に争うという。

機械に道を譲るのが当たり前、という空気はもう出来上がっている。州法が後押しし、警察が動いた。PhillyVoiceは、マービンさんの抗議の受け止めは分かれていると書いている。譲りたくない側の人が、歩道に1人で立っていた。

その場を見ていた人の話がいい。アシュリー・ボールドウィンさんは、ロボットがマービンさんをはねたと思ったという。大丈夫ですか、ロボットにぶつかられたんですか。返ってきた答えは、こうだった。「いいえ、私がこれを止めないといけないの。あれが世界を乗っ取ろうとしている」

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