これはキムチじゃない
って言われた

――韓国の親族が、日本の甘いキムチに

10/19 12:41 / 発信国:日本 / 記者:工藤

韓国人がすすめる日本のキムチは「発酵なし」?本場と比較

スーパーのキムチ売り場には、日本のメーカーのものと、韓国から輸入されたものが並んでいます。値段も量もばらばらで、どれを選べばいいのか分かりません。

2026年10月、Xに「To.韓国人 日本で買えるマジで美味いキムチ教えてください」という呼びかけが投稿されました。返信を集めたTogetterのまとめは10月18日15時に公開され、10月19日時点で閲覧数33,403、ブックマーク340に達しています。

挙がった銘柄は、ほとんどが韓国産でした。ところが、日本に住む韓国人向けのサイトを開くと、日本のある商品の名前が出てきます。発酵をわざと止めて作られたキムチです。

集まった答えは「韓国産」に寄りました

「韓国農協 白菜キムチ1㎏」には「現時点では…やっぱ……これかな……」という声。bibigoの「旨辛贅沢キムチ」には「普通にスーパーで買えるのはこれかな…」「bibigoでは満たせなかったその味を、埋めてくれました」。

宗家(jongga)については、「若干甘味があるが、jonggaもいいかな…」という声が付いていました。

ほかに、モランボンの「韓キムチ」、徳山の「おいしい鶴橋キムチ」、業務用の「多福キムチ」といった名前が並びます。

買ったあとのコツも出ていました。「常温で1日〜2日熟成させてから、お召し上がって!」という投稿です。市販のキムチは浅漬けの状態で売られているものも多いので、少し常温に置くと発酵が進む、という話でした。

まとめの見出しに選ばれたのは「お母さんが作るのが一番おいしい」の一言です。

日本のキムチは「わざと」発酵させていません

韓国農水産食品流通公社(aT)は、両者の違いを発酵で説明しています。韓国産キムチは「発酵食品です、生きている為、発酵が進めば味も変化」します。一方、浅漬けについては「発酵が起きていない」としています。

器に盛った白菜キムチ
写真はイメージ 撮影 Johannes Barre, iGEL/CC BY-SA 3.0(ウィキメディア・コモンズ)

自然発酵したキムチには植物性乳酸菌が豊富だ、とも書かれています。韓国政府認定の「キムチくんマーク」は韓国産キムチにだけ付くので、売り場での目印になります。

東海漬物は、日本で長く売れている「こくうま」を公式のQ&Aで「酸味と発酵臭の少ないキムチとして開発」したと説明しています。「発酵を抑えた製法でつくっているため、乳酸菌の数としては少なくなっています」とも書かれていました。

酸っぱくならないのは、手を抜いた結果ではありません。最初からの狙いです。

「こくうまが好き」という韓国人もいます

多数派の評価は、確かに厳しめです。

韓国の掲示板クリアンでは2024年2月、日本式のキムチは味が違うのか、という書き込みに、「発酵ではなく、ただ砂糖を入れて和えた白菜」「これでキムチチゲを作ったら捨てることになる。キムチではない」といったコメントが並びました(訳)。日本在住者向けの掲示板でも、薦められていたのは農協や宗家など韓国産でした。

東京・池袋の韓国料理屋「きむん家」のブログにも、韓国の親族に日本の甘いキムチを食べてもらったら「これはキムチじゃない」と言われた、という話が出てきます。

ところが、日本に住む韓国人向けのサイトは、別の評価を載せています。

在日韓国人向けの生活情報サイト「korean.co.jp」は、日本のスーパーで買えるものとして「こくうま」を挙げ、韓国人の間で評価が高いと紹介しています。「でき韓オンライン」の在留韓国人向けのコラムでも、日本産では「こくうま」が好評だと書かれていました。

では、こくうまのどこが気に入られているのか。筆者が開いた出典には、理由までは書かれていませんでした。

確かめられたのは、作り手側の狙いだけです。東海漬物は、こくうまを「旨みが強く、においが少ない」キムチだと説明しています。かつお魚醤とイカごろでコクを出し、国産白菜を100%使い、下漬・本漬・キムチ漬の3段階で漬けています。

Togetterにも、こくうまに触れた声が1つだけありました。「本音は今でも中川食品の本格キムチ一択。このこくうまキムチは中川からの引継ぎキムチ」。酸味ではなく、うま味とにおいの少なさで選ばれている。筆者には、そう読めました。

買う前に分かる違いを並べてみました

食べる前に、数字で比べられるところを並べます。

スーパーの冷蔵棚
写真はイメージ Photo by Rap Dela Rea on Unsplash

こくうまの「熟うま辛キムチ」は300g。東急ベルのネットスーパーでは税込みで355円でした(10月19日時点)。100gあたり約118円です。

韓国産はどうか。「korean.co.jp」によると、新大久保などの韓国系スーパーでは500gで500〜600円が目安。100gあたり100〜120円です。「でき韓オンライン」は、通販の韓国産を1kgで約2,000円(送料込み)としています。100gあたり約200円。

韓国系スーパーまで足を運べば、値段はこくうまとほとんど変わりません。差が開くのは通販のほうです。

中身の違いは、袋の裏で分かります。こくうまの原材料には果糖ぶどう糖液糖とりんごピューレが入り、賞味期限は未開封で製造日を含む25日。発酵で味が変わっていく韓国産とは、前提が違います。

では、口に入れるとどう違うのか。実際に買って食べ比べた見た目と一口目の印象は「別物と言っていいが、どちらもそれぞれ美味い」です。ご飯に合わせたときと、キムチ鍋にしたときの違いは「特に鍋に入れた時、韓国産のキムチの方がパンチがあって美味しい」です。

ネットの評判

Togetterでは韓国産を推す声が目立ちますが、日本で作られたキムチを挙げる人もいます。モランボンの「韓キムチ」には「2種類の唐辛子で辛さと甘さのバランス」、株式会社したらの白菜キムチには「辛さとコクのバランスが最高」という声が付いていました。

「韓国のローカルの美味しいお店で出てくるキムチの味と同じです」と書く人もいれば、「本格的なのはbibigoとモランボンが担当」と役割で語る人もいます。

厳しい声は、甘いタイプに向かっています。ロケットニュース24が2026年2月に載せた韓国人留学生カン・ヘジュさんの食べ比べでも、日本で買える3品について「全体的にやや甘く感じられました」と書かれていました。1位はモランボンの韓キムチ、2位はハンウルの匠の絶品キムチ、3位はJONGGAのおいしさこだわりキムチです。

まとめ

「本場に近いか」と「自分の口に合うか」は、どうやら別の物差しのようです。

酸っぱくなっていくキムチと、最後まで同じ味のキムチ。冷蔵庫に入れておきたいのは、どちらでしょうか。

出典

韓国農水産食品流通公社(aT)「キムチ」/東海漬物「こくうまQ&A」/東海漬物「商品情報 こくうまキムチ 300g」/Togetter「韓国人へ、日本で買えるマジでおいしいキムチ教えてください」/クリアン「일본식 김치가 맛이 다른가요」/クリアン「김치 어떤 거 드세요?」/korean.co.jp「일본에서 맛있는 김치 사는 법과 현지 한국인 추천 김치」/でき韓オンライン「在留韓国人が選んだ人気のキムチ6選」/韓国料理屋きむん家ブログ「日本と韓国のキムチの違い」/ロケットニュース24「韓国人留学生が本気レビュー」/東急ベルネットスーパー「東海漬物 こくうま熟うま辛キムチ」

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