あけろ!
あけろよ~!
――ある区役所が、保険料の封筒に
写真はイメージ Photo by Joanna Kosinska on Unsplash
文京区が督促状の封筒に目を15個並べたのは、差し押さえを避けてほしいからだった
東京都文京区が国民健康保険料の督促状を入れて送った封筒が、ネットで騒ぎになっている。余白には「開封」「あけろ!」(原文ママ)といった文字と顔文字がびっしり。封筒一面に、目の絵が15個。テレビ朝日は10月15日、区が高齢者や事情を抱えた人への「配慮が足りなかった」と反省していると伝えた。
東京新聞によると、封筒には「あけろ!あけろよ~!」「アクベシ!アクベシ!」「やばいやばいやばい」という文字も並んでいた。
文京区の封筒が騒がれたのは、今回が初めてではない。2024年9月、一枚の封筒の写真がXに投稿された。上の3分の2が紫と黄と緑、下の3分の1は黒地で、「至急開封」と白抜きで書かれていた。「完全にエヴァ」「エグかっこいい、エヴァすぎる」と面白がる声が並んだと、J-CASTニュースが伝えている。その投稿がこれだ。
また保険料払い忘れたから来てるんだけど
これ狙いすぎだろ pic.twitter.com/eK4fMLMxlp— 4vando🌈 (@unigeki) September 2, 2024
なぜ、ここまで派手にするのか
で、役所はどうしてこんな封筒を作ったのか。区の国保年金課は「インターネット動画配信などでコメントが流れる様子やアニメなどの表現手法を参考にさせていただきました」と説明している。
狙いは、はっきりしている。区は「督促状を見落として差し押さえに至ってしまったり、延滞金が加算されてしまったりすることのないよう、なんとか目に留めていただきたい」としている。目立つ封筒は2019年度から使ってきた。導入前におよそ88%だった国民健康保険料の収納率は、昨年度におよそ96%まで上がったという。
開けなかったら、どうなるのか
ここが、騒ぎの陰に隠れた本題だ。封筒を開けずに置いておくと、何が起きるのか。
文京区のホームページには、納付の相談に来ない人や、納める約束を守らない人の財産を差し押さえる、と書いてある。対象は預貯金、不動産、年金、生命保険、給与など。この滞納処分の時期について、兵庫県尼崎市は「督促状を発送した日から起算して10日を経過した日までに保険料を完納しなかった場合」に財産を調べて差し押さえる、と説明している。自治体が勝手に決めた期限ではない。
延滞金も付く。文京区のホームページによると、2026年は、納期限の翌日から3か月までが年2.8%、3か月を過ぎると年9.1%だ。
滞納が1年6か月以上になると、保険の給付そのものが止まることもある。文京区によると、療養費や高額療養費、出産育児一時金、葬祭費などの全部または一部が差し止められる。病院にかかったあとに戻ってくるお金が、入らなくなるということだ。
区は、払うのが難しい人に「そのままにせず、お早めにご相談ください」と呼びかけている。分割での納付が認められる場合があるという。あの目15個は、差し押さえや給付の差し止めに進む前に気づいてもらうために印刷されていた。
ネットの評判
東京新聞は、「不謹慎だ」「不気味」など30件を超える批判が出たと報じた。封筒を受け取った40代の自営業の男性は、東京新聞の取材に「本当に生活に困窮している人や、精神的に追い詰められている人も多い。行政がより不安をあおっていいのか」と話している。
区は「さまざまなご意見を真摯に受け止め、受け取られる方へ十分な配慮をしたうえで、本来の目的を達成できるよう徴収業務に取り組んでまいります」としている。
本来の目的とは、差し押さえの前に気づいてもらうことだ。封筒が落ち着いたデザインに変わっても、督促状を出した日から10日を過ぎて納め終わらなければ財産を調べて差し押さえる、という決まりは変わらない。
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