一人一杯のお茶が『最高規格』

台湾・宜蘭県の披露宴の投稿に付いたコメント

写真はイメージ 撮影 takuma mori/CC BY 2.0(ウィキメディア・コモンズ)

10/12 21:03 / 発信国:台湾

台湾の披露宴で一人一杯のお茶 その店は、県内に1軒もない

台湾・宜蘭県で開かれた結婚披露宴の円卓に、飲み物のカップが10個近く置かれていた。中身は台湾の飲料チェーン「50嵐」の看板商品、四季春青茶だ。招待客の数とほぼ同じで、一人に一杯だ(鏡報、NOWnews)。出席した人が2026年10月11日、SNSのThreadsに写真を載せた。「いいね」は1万7000件を超え(NOWnews)、閲覧は50万を上回った(聯合報)。

町にいくらでもあるチェーン店の、普通のお茶だ。なぜ、それが50万回も見られたのか。

南部の披露宴は、アイスが一人一桶

台湾の披露宴で豪快といえば、これまでは南部の辦桌だった。締めのデザートが、一人に一桶のアイス。桶ごと渡せば見劣りしないし、代金もそこまでかからない。それに客は、溶けるのを気にして早めに切り上げる。昔の屋外の辦桌では、年長の客が話し込んで長居しがちだった。帰ってくれとは言いにくい。そこで出てきた作戦らしい(聯合報)。

ファミリーサイズのアイスクリームの桶
写真はイメージ Photo by Zed Can on Unsplash

その桶を破った、と書かれたのが宜蘭のお茶だった。鏡報は「打敗南部大桶冰」(訳:南部の大桶アイスを破った)という見出しを付けた。

宜蘭県に、その店は1軒もない

理由は場所だ。50嵐は台湾全土に622店あるのに(NOWnews)、宜蘭県と花蓮県には1軒もない。なぜないのか。これは台湾で長く話の種になっていて、「社長が宜蘭の元恋人に傷つけられたから」という噂まで流れた。50嵐はこれを否定している(TVBS)。公式の説明は2つだ。この2県を任せる代理の会社をまだ置いていないこと。そして、加盟を認める審査と、品物を運ぶ仕組みの管理を、本部がとても厳しく見ていること(聯合報、TVBS)。加盟店の店主は「原物料進出宜蘭不易,不僅路程長、成本又高」(訳:原材料を宜蘭に出し入れするのは簡単ではなく、道のりが長く費用も高い)と話した。それで品質を保ちにくい(NOWnews)。

台湾の高速道路の出口
写真はイメージ Photo by Lisanto 李奕良 on Unsplash

つまり宜蘭の人には、県境を越えないと買えないお茶だ(鏡報)。投稿には「宜蘭人送上50嵐,簡直是最高規格」(訳:宜蘭の人が50嵐を出すなら、まさに最高の格式だ)という書き込みが並んだ(NOWnews)。

新婦本人もコメント欄に出てきた。もともとは会場まで届けてもらう約束だったが、連休で道が混み、その約束は崩れた。選び直したのは、高速道路の出口にいちばん近い新店中正店。あとは友人に頼み、車で向かう途中で出口を降りてカップを積んでもらった(聯合報)。会場にいた招待客からも書き込みが来て感動した、と新婦は書いた(TVBS)。

南部の桶アイスは、客に気持ちよく帰ってもらうための一品だ。宜蘭の一人一杯は、客のために誰かが高速を降りた一杯だった。

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